076804 ランダム
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`∀´)ニヒヒヒ…

`∀´)ニヒヒヒ…

第2話


数日後の夕方、楽器屋のマスターから電話があり、
明日の夜、ベースギターを持って駅前のスタジオに来てくれとの事だった。

(何だ?急に…で、どこだ?駅前のスタジオって…)

その夜。
電話で場所をもう一度マスターに確認して、車に乗りこんだ。

途中、車のラジオから「カリフォルニアの青い空」が流れていたのは、その後の展開を暗示していたのか?
その時の俺は知るよしもなかった。

場所は駅前っていうより、ちょっと奥場った閑散としたビルの5階にあった。
(ドラキュラ男爵が住んでそう…)
なんてな事を思いながら、そのビルの階段(エレベーターがあったかどうかは知らない)をベースギターを持って駆け上がった。

そのスタジオに着くと他のバンドが練習をしていた。
大学生か社会人になりたてのような連中だった。
鼻の下に大きなホクロがある女性がボーカルで、他は全員男だった。
サザンの「ミスブランニューディ」をやっていた。
(珍しいなぁ~サザンを女性のボーカルでやるなんて…)
と、思っていると奥の方から丸っこいおっさんが手を招いていた。
マスターだった。

スタジオはかなり広く、小さなライブでもできるほどだった。
大学生達の前を横切ってマスターの前に行くと、
「今夜、スペシャルゲストが来るから、
あんたはベースを弾いてくれ!フアッ!フアッ!フアッ!」

マスターは満面の笑みを浮かべながら言った。

「誰?ゲストってのは…」
なにも段取りを聞いてない俺は怪訝そうな顔をした。
マスターは顎で左の部屋の隅を指した。
そこには先日楽器屋に来ていた大女…いや、外人さんが座っていた。
サザンをやっている彼女らの演奏を聞き入っていた。

「キャシー!」

キャシーって呼ばれた外人さんには
マスターの声は届いていないのだろう、返事がない。

ホクロ女の声と演奏が、とにかくバカでかかった。
マスターは何度も叫んでやっとキャシーが気付いた。

と、同時に防音で2重扉になった一枚がゆっくりと開いた。

「おぉ!来た、来た、今夜のスペシャルゲスト登場!」

そこには、俺も大きいが、その俺が見上げるほど大きな白人の大男が立っていた。
演奏がピッタと止んだ。

…つづく。


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